第110章:行方不明

「ヘンリー……」

息が詰まるような人ごみを掻き分けながら、彼は彼女の手をきつく握りしめていた。

ヘンリーはとにかくこの場を抜け出すことで頭がいっぱいで、デイジーがどれほど苦しい思いをしているかに気づいていなかった。

ジェイソンは絶えずデイジーの様子を気にかけていた。

「怖がらないで。ジェイソンが一緒にいるからね」

しかし群衆はさらに膨れ上がり、怒号はますます大きくなっていった。

出口を探してもがくうちに、ヘンリーは誤ってデイジーの手を離してしまった。

「デイジー!」

ヘンリーは血相を変えて振り返ったが、四方八方から押し寄せる人の波が見えるだけだった。

彼は顔面を蒼白にし、慌ててジ...

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